◇天国から地獄

   

    池に通う回数が増えるごとにカワセミ君の撮影もだいぶ慣れてきた感じがしていました。

    そんなマサに思わぬ落とし穴が待ち構えておりました。

    夜勤の仕事から帰るとすぐ仮眠をとり、カワセミ君が来る時間に合わせ出かけようと思っていましたが、

    少し寝すぎてしまいました。

    とりあえずカメラ機材を持ち、あわてて池に直行しました。

    池に着くと、メンバーの方がすでに3人来ており、

    『ちょうどいいところに来たね。カワセミが今来たところだよ』と声をかけてくれました。

    マサは『今日は運がいいな』と有頂天になり、気分ランランで三脚にカメラを固定し

    空いている隅のほうに歩いていきました。

    ところが、カワセミ君はいつも我々が居る対岸のざくろの木にとまっているんですが、

    マサがカメラを設置しようとした時、移動していてマサの近くの金網の上にとまっていたのです。

    いつもは、カワセミ君の位置を確認してからカメラを持ってゆっくり設置するのに

    今日に限って無造作に行動してしまいました。

    皆の『あっ』という声とともに、カワセミ君はびっくりして飛んで行ってしまいました。

    あとには、見えないはずの皆のため息が池の上にぽっかり浮いているようでした。

    やってしもうた。

    皆さんにお詫びしましたが、後の祭りです。

    その日は、カワセミ君がなかなか姿を現わさず、皆さんはずっと待っていたのです。

    おまけに、女性会員の方が来られていて、その方は日曜日しか来ることができないとのこと。

    今日の撮影を楽しみにしていたにちがいありません。

    マサは心の中でカワセミ君が戻ってくることを祈りました。

    皆さんは『また来るから大丈夫だよ』と言ってくれましたが、マサは恐縮しきりでした。

    カワセミ君が戻ってくるのを待つ間、メンバーの方と談笑しましたが、心が重いマサでありました。

    そして、心の中で何度もカワセミ君が来てくれることを祈り続けました。

    でも、とうとうカワセミ君は戻ってきませんでした。

    なんとも後味の悪い一日になってしまいました。

     

2001.01.07

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